リュード治世35年、王国の西、ハッシ高原一帯は、
夜盗どもの巣窟と化していた。
かつては、ろくな産業も無く、僅かに放牧が行われていた
程度で、貧しい地域であったが、治世20年、外務卿ミレルの
もたらした、とうもろこしの栽培に成功し、一大食糧供給地帯と
なった。
それと共に、いろいろな人種が流入し、中央から遠い事も
あって、怪しげな連中のたむろする地域となってしまった。
この事態を憂慮したグレゴリー内務卿(スコット卿は、
在位30年に退位した)は、犯罪集団の撲滅を決意、官のみ
ならず、民にも広く犯罪撲滅の為の組織を作っていった。
ハッシ広域取締役(官)・警邏地回り(民)だ。俗に、ハッシ
廻り・地回りと呼ばれたそれである。
(首都トゥーラの地回りのみ、警邏と呼ばれている。これは、
すでにあった組織を改変した為、以前からの名称で呼ばれた
からである)
無論こうした取り組みの成果が、すぐに出るはずもなく、
グレゴリー内務卿は、宮殿内の反対派から、ずいぶん
突き上げを食らったらしい。
「成果が出ないからと言って、今やらねばならない事を、
後の世に回す事は、愚者の思考である。」
グレゴリー卿の有名な台詞だ。
なお、悪名高い特警(盗賊等特別警邏隊)が出来るのは、
さらに時代を下った後である。
宮廷速記者の自伝より抜粋
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