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外伝

すぺしゃるの2

陛下の休日の2

 ・・・おかしい(ーー)
 イレフは悩んでいた。ここの所、反体制派の貴族たちの動向が、
国王側に、筒抜けになっているのだ。
 つい先日も、酒場で隠密裏に勧誘し、少しづつ私兵を増やしていた
貴族が、廊下で外務卿と出会った折、
「最近人を集めておられるようですが、鷹狩でもなさるのですか?」
と、声を掛けられ、胆を冷やしている。
 その男は、とぼけて、ごまかそうとしたのだが、
「え?、昨日も酒場で2名ほど、お雇いになったではありませんか(^^)」
と、つっこまれ、さらに
「鷹狩の際には呼んで下さいね? 兄上たちと一緒にまいります(^^)」
と、念をおされた。
 とどめは、あの国民すべてを魅了した、とろけるような笑顔である。
 会話の示唆している、内容が内容だけに、マジ怖かった(TT)と、男は
言っていた。
 ・・・内務卿なら解る。軍務卿でも、だ。2人とも、独自の情報網を国内に
持っているからだ。・・・何故、外務卿なんだ? 確かに4人は、よく会議を
している。
 しかし、昨日の今日だぞ?!  どうして、そこまで正確で早いんだ??
 ・・・メッセンジャーか、・・・しかし、潜入させた部下からは、特に変わった
様子は無い、との事だった。一体どうやって王宮と連絡を取っているのか・・・。
 ・・・やはり、唯一潜入できない厨房、か。・・・誰か、人を遣ってみるか。


 ・・・いやだなあ(−−)
 スライは、悩んでいた。上司からの命令で、厨房の様子を探りにきた所で
ある。
 見つかったら“腹が減ったので食い物を探しにきた”って、言い訳しろ、と、
言われ、入口までは来たものの、どう考えても、城の衛視が、来る場所じゃ
ない(−−)
 本当に、その言い訳で見逃してもらえるか、怪しいものだ。
 ・・・第一、夜中の厨房で、ナニを調べればいいんだろう? ・・・と!
暗い、誰も居ないはずの厨房の中から、がさごそと、怪しい音が聞こえてきた!。
 やがて、小さな明かりが付き、謎の人物が・・・、なにやら調理を始めたようだ。
もう少しよく見ようと、スレイが身を乗り出したとたん、テーブルの上の調理器具を
落としてしまった!
 “カ〜ン、カランカラ〜ン” 静寂の中で、金属音はやけに響いて聞こえる。
「誰だ?! 」
鋭い誰何の声と共に、明かりが近づいてくる。
 やべえ、・・・あの言い訳で、ごまかせるかな(汗)と、考えながら、
「や、やあ、夜分にすまん(^^; ちょっと小腹が減ったもので・・・」
と、スライが言いかけると、
「・・・ほう? 腹が減ってたのか、ちょうど良い、我が手料理を味わう栄誉を
やろう(^^)」
 という鷹揚な台詞が帰って来た。
 そして、明かりと共に現れたのは、なんと! トゥーラ国王リュード1世陛下
であった。
「へ、へへ、陛下! 失礼しました!! 」
 スライは、先ほどの自分の口調を思い出し、真っ青になった。・・・終わった(泣)、
・・・何もかも、・・・頭の中は、真っ白である。
「良い(^^)、それより、腹が減っているのであろう? この干物でもかじって、
待っておれ(^^)」
 リュード1世は、なにやら、干物を手渡し、再び、料理に戻った。
「は、・・・ありがとうございます!」
 と、・・・とりあえず、ご機嫌は損ねなかったようだ。
 ほっとしたスライは、渡された干物を何気なく口に運び、・・・運び、・・・・
#Ф$▼◆!!
 ・・・何とか、悲鳴をあげるのは堪えた。涙目になって、リュード1世に問い
掛ける。
「あ、・・・あの〜、陛下、失礼かとは思いますが、この干物は、カエルじゃあ・・・」
「うむ(^^) 1晩かけて水分を飛ばしたものだ(^^) うまいだろう?(^^) 」
 リュード1世、満面の笑みである。・・・言えない(TT)。ここでまずいなんて、
・・・ましてや、カエルは食い物じゃない、なんてな事は、口が裂けても言え
ない(泣)
「今、それでシチューを作っておるからな? しばし待て(^^) 」
 しかし、その台詞はスライの耳には届いていない。
 ・・・耐えろ、耐えろ俺! 明日の朝日を拝む為だ(><) スライは心で
念じつつ、ありったけの精神力を動員して、それを噛み、何とか飲み込んだ。

 ・・・そして、半分燃え尽きたスライの前に出されたのは、手の平サイズの
カエルが入った、リュード特性シチューだった。

 後日、「なんでもしますから、それだけは勘弁して下さい(泣)」と、泣き出した
スライの口から、反体制派の王宮内の組織図(の1部)が判明した。
お手柄(?)のスライは、スコット卿の直属の部下として、こき使わ・・・庇護された。


 うんちく:ここで出てくるカエルの干物とは、皮をはぎ、頭と内臓を落とした、
カエルの1夜干しである。通常、トゥーラの首都付近は、内陸と違い食料は
豊富なので、カエルは食べられていない。 カエルを食用にするのは、内陸及び、
山岳地方の人間か、野盗・旅人等、通常の食料の供給が困難な立場にいるものに
限られる。・・・どうやら、リュード1世は、シャークから調理法を教わったようである。

 ・・・シチューは、陛下のオリジナルのようではあるが(^^;

ちゃんちゃん

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