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トゥーラ年代記

陛下の告白 2

作者:仁奈様

ここに一冊の手記がある。
著者はおそらくリュード一世であろう。
内容は・・・読んでみればわかるだろうが、
別の資料にみえる陛下の姿とは少々食い違っているようだ。
この手記の内容が真実であるか、
リュード一世のただの創造なのか謎ではあるが、
ただ、ある章に見えるリュード一世に似つかわしくない話があるので
それを紹介しておこう。


〜赤髪の願い〜
    
    ボクは罪深き女でしょう。
    あれほど恐れていたことが現実になるなんて・・・。
    ボクは生涯一人の人を愛しました。
    その名は、リュード一世。
    若き王。
    猛き王。
    獅子たる王。
    ボクは獅子から爪、牙を奪いました。
    だって、あなたには必要ないもの。
    温かい心を持っている。
    皆に安らぎを与えることができる。
    皆を癒すことができる。
    しかし、今や、
    温かい心は冷め、
    安らぎを奪い、
    人を傷つけるように・・・。
    ボクはなんと罪深き女でしょう。
    生えてきた芽を、
    育っている草を、木を、
    枯らしてしまうかもしれない。
    リューさん。
    愛憎は表裏一体のもの。
    愛は、すぐに憎しみにかわってしまう。
    憎しみは強い力となる。
    負の力と・・・。
    かつて、あなたは飛翔河馬を屠った。
    強い力を得るために。
    結果、憎しみを得た。
    憎しみは人から安らぎを奪い、
    人を傷つけてしまう。
    そんな力は要らない。
    あなたにはふさわしくない。
    ボクはかつてこう言った。
    「強い力なんて要らない。
    どうせなら、安らぎに似た力を・・・」
    あなたは勘違いしているかもしれない。
    強い力を持たなかったがためにボクが死んだ、と。
    それは違う。
    ボクは、あなたを守った。
    安らぎに似た力でボクが守ったかどうかは分からない。
    でも、憎しみであなたを守ってはいない。
    リューさん。
    ボクの最後の願い。
    
願わくは、温もりが永遠に冷めぬよう・・・。



                                Fin

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