直線上に配置

虚空 2

そのアギト、黒く、ただ黒く、虚空を食む。
飲み込まれ、今だ帰る者無し。

「・・・どう考えても、誰かの悪戯だよねぇ(溜息)」
「いいんじゃないの? 借りれたんだし(^^)」
テーブルの上の古文書を囲んでの二人の会話である。
場所は、渚の自宅。 あのあと、司書のお姉さんに小声で話すよう
お説教を受け、ついでに、本の事を聞いてみたのだ。
しかし、お姉さんも首を捻るばかり。そんな所に有るはずがない、との考えは
3人とも共通しているのだが、稀少図書の目録にはこのタイトルは無いらしい。
おまけに、貸出可のマークが本の裏に張ってあったのだ。

その為、海野が借りる事を主張し、お姉さんは首を捻りながらも、図書カードを
作ってくれた。(海野、コレが図書カードデビューだったりする(笑))
そして、今晩、この古文書を読破しよう! と、言う魂胆なのである。
さいわい明日から連休に入るし、訳すのは渚だし(爆)
そんな訳で、渚の部屋にいるのであるが・・・

軽く、値踏みをするような感じで、、渚が本を手にとる。
その時、本の間から、地図らしきものが滑り落ちた。
「ん? ・・・何だこれ?」
海野がそれを拾って、テーブルの上に広げる。
渚は、本の置き場所が消えたので、仕方なくその本を持ち続けることになった。

地図は、この町周辺のものだった。・・・が、海岸線の形が微妙に違う。
「昔のかな?」
「たぶんね、・・・ところでこの本をおきた・・・」
「ん?、何だこれ?」
渚の抗議は、海野には届いていないらしい^^;
渚は、溜息を1つついて、海野の手元を覗き込んだ。

そこには、後から書き加えられたとおもわれる走り書きがあった。
『そのアギト、黒く、ただ黒く、虚空を食む。
飲み込まれ、今だ帰る者無し。』
その言葉の近くには黒い穴。

「・・・これって、あの'穴'だよな?」
「この地図がこの町の周辺図なら、そのはずだね。」
「あの穴は行き止まりだぜ?」
「だったら、この地図も悪戯かもね。」


・・・次章、が、あるのか?


プラモ&パズル まじっく トップへ

直線上に配置