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カメラ・カメラ

ふと、気配を感じ、ファインダーから目を離した。
視線をたどると、私の方に向いたレンズがある。
・・・ああ、そうか。夕陽を撮っているのか。
私は、射線の邪魔にならないよう、後ろに下がろうとした。

’そのまま! うごかないで!’
カメラから声が掛かる。
既に画角を決めていたのだろうか?
遮蔽物になっては大変と、私はその姿勢のまま固まった。

しばらくシャッター音が続き、・・・やがて止み、
カメラ、・・・いや、カメラを抱えた人物から声がした。
'あのー、・・・もうちょっと自然な感じでお願いできるかな?
さっきみたくカメラ構えて、さ。'

・・・、私を撮ってたのぉ?!
頬が見るまに赤くなる。
バックに見える夕陽といい勝負だろう。

撮るのは好きだけど、撮られるのはニガテだ。
自分の容姿に自信がないから。
私の急変振りが、彼女をあわさせたようだった。

'ごめん・・・撮られるのダメだった?
NGなら、このフィルムは破棄するよ。
あまりにも、いい顔で、撮ってたから、つい・・・ね。
私も撮られるほうはダメだから、気持ちわかるよ。’

たけしまつたこさんと、その女性は名乗った。
シックな黒いセーラー服。
趣味が同じ事もあって、私たちはすぐに打ち解けた。

彼女が撮るのは、もっぱら人物らしい。
許可を取るのが大変でしょう?と、聞くと
’まあね、・・・でも、動物のほうがもっと大変なんじゃない?’
と、返された。
彼女が視線で示す先には、白鷺がいる。
先ほどまで、私のモデルになってくれてた子達だ。

’そうでもないのよ。・・・種類によるけど、好奇心を持って
近づいてくる子達もいるし・・・あの子達は食事中だったから
あまり警戒せずに、モデルになってくれたの'
日が暮れ、足元が危うくなるまで、夢中でおしゃべりをした。
母が私を探しに来て、私たちは分かれた。
あのフィルムの可否を伝えないままに。

母に、あの制服は、リリアン女学院の物だと教えられた。
リリアンジョガクインタケシマツタコサン・・・か。
入学したら会えるのかなぁ?
思っただけのつもりが、言葉に出たらしい。
母に笑われてしまった。

'ムリムリ、天下のお嬢様学校だもの。私だって受験したけど・・・
ま、まぁ、とにかく凄く難しいよ。’
ふ〜ん。・・・ママも受験したんだ。
・・・受験費用、いくら位するのかなぁ。

End



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