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戦国伝

第３章　制圧

　捕虜とした、将軍たちからの報告によると、ライ・スワンプ
本国の防備は薄く、その守備兵も5千くらいとの事だった。
　罠の可能性も否定できないが、リバー・ブラグが顔を出して
来た以上、猶予は無い。ここで一気に攻め落とし、わが国の
軍事力を天下に知らしめる必要がある。
　ライ・スワンプが落ちたら、しばらくは威力外交で攻めてみよう。
・・・その為にも、短期にこれを落とさねば。

　急遽7千の軍を構え、ライ・スワンプ（首都と国が同名）に進軍した。
なだらかな高原が続く、良い土地だ。作物の実りが期待できよう。
　敵は、城より打って出た。その数5千と数百。ほぼ情報通りの
数である。
　敵将はトゥーナイト・フィン！　先の屈辱戦と、言うわけか・・・。
同じ轍は踏まぬであろう。・・・厄介な敵になる。なにより、
こう見通しの良い、平原に陣を構えられては、無様に我攻めを
掛けるより他に無い。

　数では勝っているとは言え、敵の本拠地を守る守備兵だ。
練度・士気共に高いであろう。相当数の損害を、覚悟せねばなるまい。
　明日の朝が、開戦となろう。登る朝日は血の色、か・・・。

　2日目、敵の仕掛け罠を警戒し、敵陣の背後に回りこむ作戦を取る。
が、敵もさるもの。突撃され、力押しの混戦となる。途中、魔砲による
狙撃を受け、ひやりとしたものの、覚悟していたほど敵の士気は高くなく、
午後になり、敵兵力が1千数百になった辺りで、総崩れ気味に撤退して
いった。
　後で知った事だが、敵陣の前面には、馬止めの罠が各所に仕掛けて
あった。
　正面から我攻めをしていれば、損害は甚大なものとなったであろう。

　そのまま、体制を立て直し、負傷兵を後方に残し、城攻めに入った。
敵の合流を阻止する為、やや迂回気味になる街道をそれ、山中を
一気に行軍する。（敵の本拠地周辺は、やや小高い丘が連なっており、
理想的な防御地形となっている）
　驚いた事に、敵城では、ほとんど抵抗を受けず、ほぼ無傷で攻め落とす
事が出来た。戦場を去った兵のほとんどは、いずこへか、逃げ去り、
城に戻ったのは、わずかであったらしい。

トゥーナイト・フィンは、自害したようだ。残りの将軍どもをどうしてくれよう・・・。

ブレッド・レイド---下るを潔しとせず。後々を考え斬首。
トゥーナイト・カウス---国主の一族である為、斬首。
クゥース・ウェスト---命乞い。登用。
ザイン・フェード---命乞い。武人と言うより文官、登用。
ラン・フリード---命乞い。この者も文官肌。登用。

　この処置を広く、各国に伝えるよう、ザインとランに命令する。
パト・ザウズの統治者、ボーテン・ラード（つまり、私だ）は、下るものは
拒まぬ。
が、我に弓引く者は、一族子供に至るまで、責め滅ぼす、と。
　この処置により、トゥーナイト王家は滅亡、国名その他は、民の感情を
考慮し、そのままにする事とした。


次章に続く


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