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トゥーラ年代記

第3章

ゼロからの出発 その1

「・・・やっと、お帰りですかな?」
部屋の前に立つ中年男の声。
「・・・。機嫌がよさそうだな?スコット卿?」
「!、・・・ええ、お蔭様で」
目が剣呑な光を放っている。
「疲れてるんだ」
押し退けて部屋に入ろうとする俺
「は・な・し・が、あります。王子!」
立ちふさがり、言い放つスコット卿
「・・・私は、この国の王のつもりだが?」
不機嫌さを隠さずに、口にする。
「来週の、戴冠式が終わるまでは、お・う・じ・です、殿下!」
 彼も負けてはいない。互いに数秒にらみ合う。・・・先に
視線をはずしたのは俺。
「・・・まあ、立ち話もなんだ、中に入りたまえ」
「・・・では、失礼押します。・・・王子」
・・・!!、この、くそ中年!
「ワインでいいかね?」
 おそらく私の笑顔は引きつっていただろう。顔を伏せるかと
思いきや、涼しい顔で、
「ありがとうございます」と、受け取る。
 私にタメ口をたたく宮廷人は、彼くらいのものだ。数年間、
私の教育係をやっていた事もあり、いまだに、頭が上がらない。
 大変優秀な人物で、私がこの時期に宮廷を離れていられるのも、
彼が味方についてくれているおかげだ。
「・・・で、こんな時間に何の用だ? 私には、その手の趣味は無いぞ?」
「・・・・・・!!、」
・・・今度は彼が、顔を引きつらせる番だった。


「・・・報告は、2つあります。どちらから聞かれますか?」
 落ち着きを取り戻したスコット卿の声。ソドミィだとからかったおかげで、
たっぷり10分間、礼儀についての講義を聞かされたあとだ。
「・・・良い方から。」
もはや、逆らう気力も無い。
「あいにくと・・・、報告は、悪い方と、まずい方の2つですが?」
「・・・勘弁してくれよ〜(泣)」
ソファーに突っ伏す俺。




次章に続く


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