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トゥーラ年代記

第3章

ゼロからの出発 その3

「・・・ハンニバル神聖帝国(注1)の特使殿は、・・・ご滞在中かな?」
「一昨日より城内の貴賓室におられます。」
「ノーラ帝国の使者殿は?」
「特使ですか?明日登城予定ですが。」
「・・・、・・・ラーダの使者殿は?」
「本日、書簡を受け取りましたので、・・・まだ町にいるかと思いますが。」
「? 城内ではなく、町にか?」
「はい、・・・さすがに騎士見習いを、貴賓室に入れるのは・・・」
「・・・騎士見習い〜?!」
「はい、・・・まあ、特使ではないわけですし(苦笑)。」
「・・・トゥーラの若造は、なめられてるって理由だ。(溜息)」
「先方の事情もあるのでしょう、竜の盟約(注2)の件もありますし。」
「・・・むう、・・・まあいい。明日、登城して頂けるように、探し出せるかな?」
「・・・やりましょう。」

「・・・ようは、だ。使者を確かに出した、って既成事実がありゃ、いいんだろ?」
「先方が、納得すれば、・・・ですな。」
「・・・納得させるさ。事実、使者は着いてんだ、・・・死んじまってるがな。」

 ・・・問題は、新たなる使者に誰を使うか、だ。その後のきな臭さを考えれば、
ランカスター卿の兵力は、これ以上割けない。・・・ばくちに出るか、・・・
それとも・・・。


注1:ハンニバル神聖帝国

 かつては、トゥーラ王国・ノーラ帝国の1部、11の騎士団領、すべてを
統治していた中原の覇者。
 現在は5〜6の都市を直接統治する他は、名前だけの存在。

注2:竜の盟約

 神聖帝国が弱体化し始めた頃、(現在のノーラ帝国の礎となった国の
南下が原因)騎士団領間で交わされた盟約。
 騎士団領のいずれかが、他国より侵略を受けた場合、利害関係を超え、
団結して敵を排除する、との盟約。
 『竜の鱗を狙うものは、竜の顎にて裁かれる』




次章に続く


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