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トゥーラ年代記

第4章

若き王の外交 1

謁見の間

「・・・では、今から使者を送ると?」
 神聖帝国使者の、困惑した質問。
俺は、すらすらと、澱みなく答えて見せた。
「左様、なにせ、ごらんの通りの若造です。国政になれてないもので、
不手際が多すぎる。幸い、騎士団領は、首都より近い。1週間あれば
なんとかなる。・・・関所で止められなければ、・・・ですが。」
「・・・それで、我々に何をしろと?」
「察しが早い、やはり長年外交で活躍される方は、違いますな。」
「お褒め頂き恐縮です、閣下。・・・しかし、一介の使者に出来る事など・・・」
 面倒事はごめんだ、と、顔に出す使者に、俺は、一気にまくし立てた。
「ありますとも!是非お力を拝借したい、・・・というのは他でもない。
我がトゥーラ国も騎士団領も、すべて神聖帝国の1部。神聖なる御旗の
紋章をお借りできれば、野盗どもも、恐れ多くて手を出さぬでしょう」
「・・・旗を、・・・借りたいと?」
「左様、いい案だと思ったのですが・・・、如何ですかな?ノーラ帝国の特使どの」

 突然話を振ったのに、やつは慌てずにこう言ってのけた。
「・・・よい案だと思います、閣下。
偉大なる神聖帝国の前に立ちふさがる者には、
神罰が下るでしょう。」
「・・・神聖帝国特使殿、別室に待たせてある使者たちに、お言葉を
賜れないだろうか? その後は、式まで、鷹狩に参加して頂きたく思う」
 ・・・おそらく奴は、国でもたいした扱いは、受けてなかったのだろう。
有頂天になり、えらそうな訓示をたれた。・・・ニヤニヤとしまりの無い顔で。
「・・・では、ラーダ領の使者殿。」
「は、はい!」
「神聖帝国の任を受けた、トゥーラの使者が、領内を通る。急ぎの使者ゆえ
関所の詮索は、最低限に留め置き願いたい。・・・とのむね、領主殿に
お伝え願えるかな?」
「あ、はい、・・・はい、伝えます!」
 ・・・まあ、こんなものか、騎士見習をよこした報いだな・・・。
・・・それにしても、ノーラの特使があっさり賛成するとは思わなかった。
 騎士団領を煽ったのはノーラだと思ったが・・・。・・・よほどの有力者か、
ただの馬鹿か・・・。
「・・・では、明日より鷹狩を始めたいと思う。神聖帝国、ならびにノーラ帝国の
特使どの。たっぷりと、堪能されよ。」




次章に続く


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