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トゥーラ年代記
第4章
若き王の外交 2
それぞれの思惑
部屋を出、廊下を去ってゆく3人の男たち。
・・・それぞれの思惑を抱えて。
神聖帝国特使
・・・それにしても、・・・神聖帝国の旗? あの若造、自分の力に
自信が無いからって・・・。
よりによって、名前だけの神聖帝国に頼るとは、・・・。
まあいい、俺には関係の無い事だ。せいぜい鷹狩を楽しむさ。
めったに味わえん贅沢だ。この国がどうなろうと知ったこっちゃねえな。
ノーラ帝国特使
・・・神聖帝国の使者か、・・・思ったよりも頭が切れる。・・・スコット卿の
入知恵か?・・・それとも本人の策か。場合によっては、矛先を変えるか。
・・・種は蒔いてることだし、・・・な。
いずれにしても、大君のお耳には入れておかねば、・・・。
リュ−ド一世
・・・神聖帝国の使者は、予想通りだったな・・・。ばくちに近いやり方
だったが、ノーラの使者の、確認が取れた時点で、8割方成功だ。
・・・これで、騎士団領は、大儀に背く反逆者、となる。
問題は、ノーラの今後の動き、だ。
中原に兵を展開するより、騎士団領を各個撃破するほうが安し、
と、踏んだか? ・・・あるいは、騎士団領を追い詰め、尖兵として、
動かすつもりか。ノーラの動き次第で、今後が決まる、・・・か。
神聖帝国の皇帝殿が、使者ほど愚鈍でない事を、祈るばかりだな・・・。
使者たちは、ラーダ騎士団領を抜ければ、『消える』事になっている。
・・・つまり、各騎士団領は、神聖帝国公認の使者を、その領内で、
『行方不明』にしてしまう、という事だ。『公式な使者』が、領内に入った
のは1度のみ、と言う事になる。
形の上だけとは言え、臣下が、王の認めた使者を領内で、失った
とあれば、タダでは済まされない。ましてや、その使者を捕らえ、処刑した
とあれば、最早、『騎士』は名乗れない。
騎士団領は、神聖帝国に背く逆賊の集団・・・と、なる。
・・・無論、この事には、何の力も無い。
彼らが、あえて、この謗りを無視する事もありえるだろう。
・・・だがそうなれば、彼らは、私の国1つを相手にする訳にはいかなくなる。
『主君に背く不届き者を誅する。』と、言う大義名分を、周りの国々に
与えてしまうからだ。
・・・それでも彼らが動いた時に備えて(騎士は、意地と頑固が
信条だから(笑))、神聖帝国皇帝殿宛ての書簡と、『鷹狩』の準備を
しておこうか・・・。
次章に続く
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