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トゥーラ年代記

国を統べる者 1

謀殺

「毒・・・、ですか・・・」
「・・・血を見るのは嫌いでしてな。」
 商務卿スナルの執務室。照明を落とした室内に、2人の男がいる。

「・・・しかし、どうやって盛るのです? 料理人の買収は、失敗したのでは?」
「正確には料理長の、・・・ですな。その大役は、我らがミレル殿下に
お願いしましょうぞ。」
「ミレル様に?! ・・・とても引き受けて頂けるとは、思えませんが?」
「左様、毒を盛れといっても聞いてはもらえんでしょうな。それどころか、
兄上にお知らせに行かれるでしょうな。」
「それでは、いったい・・・」
「なに、簡単な事ですよ。・・・まあ、とくとご覧あれ」
くっくっくっ・・・
 暗闇に響くスナル卿の笑い声・・・

 翌日、ミレルの居室

「ワイン、・・ですか?」
「はい、閣下。・・・海の向こう、見上げるほどの巨人の住むという、
ガーラ地方より取り寄せました。」
「聞いた事があります!、魔術に優れた者のみが、心を通わせ得る
守護神が居ると。」
「はい、その巨人の住む島の、特産品で、ございます」
「これを、私に?」
「はい、・・・僭越ながら。リュ−ド様は政務が忙しく、お食事も満足に
お取りになっておられぬご様子。差し出がましいとは思いましたが、明日の
戴冠式の前に、ご兄弟、水入らずのお時間をと、・・・」
「・・・ありがとう、商務卿。早速、兄上に届けましょう。」
「それがよろしいでしょう、我々はこれで失礼させていただきます。」




 商務卿スナル・・・ミレル擁立派の首謀格。
リュ−ドの模索する、メッセンジャー制度が軌道に乗ると、商売によって
動く金が、国家に把握される為、袖の下で私腹を肥やす事が出来なくなる。
また、これまで国家に与えた損害についても、賠償を迫られる事となるだろう。
・・・場合によっては命で。追い詰められた彼には、他の選択肢は無い。

 ハッサンが他国の諜者だと知って、その事実を、(報告せず)私腹を肥やすために
利用する人物。


次章に続く


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