直線上に配置

トップ物語

トゥーラ年代記

第5章

国を統べる者 4



「待たせたな!、ミレル」
「あ、・・・いえ」
「ソーセージを探すのに手間取ってな。・・・ほら!、リュ−ド特製、
ソーセージと玉葱の炒め物!、だ。」
「探すって・・・。どこに行かれてたんです?、・・・兄上」
「ん、・・・ああ、厨房にな・・・。」
「?、・・・料理人がいたのでは?」
「うむ、・・・その前に聞きたい、ミレル」
「はい?」
「そのワイン、どこから持ってきた」


「・・・、なるほど・・・。・・・・、・・・、」
「・・・あ、兄上、私は! ・・・私は、あの日のことを忘れていません!
兄上が、爪と牙を持たれた、あの日の事を! 」
 ミレルは、顔を真っ赤にし、それだけを言うと、後はじっとリュ−ドの顔を
見つめた。
 ・・・うまく伝えられぬはがゆさからか、いまにも泣き出しそうな顔で。




「・・・実はな、ミレル。」
 リュ−ドが話し始めたのは、ミレルが泣き止んだ後だった。
もう料理?は、すっかり冷めている。
 リュードは、ワインについての告白を聞いたあと、直立不動の弟を、
何も言わず抱きしめたのだ。
 そして、耳元でこうささやいた。
「私が愚かだった、ミレル、・・・許してくれ。ただ1人の弟で、命を
救ってくれた恩人を、疑うとは、な。」


次章に続く


プラモ&パズル まじっく トップへ

直線上に配置