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トゥーラ年代記

第6章の8

騎士連合の罠の3

「夕暮れのかすみは、カリィのにほい・・・」
「何、それ?」
「・・・腹減った(−−)」
「この辺は、まだ、宿場町が、整備されてないですから」
「む、たるんどるぞミラン城主!」
「おひ、人に聞かれたら、タダじゃすまんぞ?」
「何?!、おごってくれるのか?!」
「・・・、コウさん(−−)」
 ・・・などと、いつもの会話が和やか?に、交わされていた夕暮れ時、
我々の後方から、蹄の音が近づいてきた。
「お?!」
「早足ですな、我々が狙いですかな?」
「・・・他に目標物は無いしな。」
「じゃ、ご挨拶しましょうか」
立ち止まり、振り向いた我々に追いついてきたのは、3騎の騎馬であった。
「旅の方! 目的をお教え願えないか? 私は、ミラン百人隊長、ゲオルグ!」
! 私とシャークに緊張が走る! 百人隊長ゲオルグと言えば、馬上槍の
名手として、近隣諸国に名を知られている。
 我々をめがけてきたことといい、自ら我々に名乗ったことといい、正体は
ばれてると思っていい。ゲオルグをかわし、残りの二騎を何秒で片付けられるか・・・。
手間取ったら全滅だ。・・・脇に汗が流れる。
 と、その時、コウさんが口を開いた。
「エジーゴのちりめん問屋、ふらい屋の若旦那、コウといいます」
・・・固まる、ゲオルグ。必死で笑を堪える供の二騎。
そんな相手の反応なぞ、まったく気にする様子もなく、コウさんは続けた。
「これは、供の者たち、順に、シャーク、ライ、ミウです。・・・何か御用ですかな?
騎士殿(^^)」
(著者注:いまさら説明の必要も無いだろうが、エジーゴとは、かの有名な、
通俗旅読物、『ミドミー・ツクニの旅日記』に出て来る、神聖帝国の地方名である。
無論、ふらい屋は主人公が名乗る架空の商会の名前)
 ゲオルグは、笑をかみ殺している供の者を振り返り、溜息交じりにこう言った。
「・・・本当のところを聞かしちゃくれませんか? あー・・・、コウ、殿?」
「そうですな〜、それはちと、長くなるし腹も減ったし・・・。この辺で、宿屋は
無いですかな?、騎士様(^^)」


・・・口先大魔王とは、よく言ったものである。よくもまあ、あれだけペラペラと、
嘘が言えるものだ(−−)。
 しかも、相手が嘘と気が付いているはずなのに、である。
 結局、ゲオルグの城(と、言っても屋敷に毛が生えた程度)に、ご招待となった。
「・・・コウさん。やばくないですか?」
「そうかな?、晩飯食っても代金請求はせんと思うぞ?」
「いやそうじゃなくて(−−)」
突っ込むミユの言葉にも力が無い。
「良いではないか。これで寝床と飯は確保! あとの事は、飯の後、だ!(^^)」
・・・この、お気楽トンボは(−−)


次章に続く


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