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トゥーラ年代記

第6章の9

騎士連合の罠の4

・・・長い、長い夜が始まった。
 食事の後、2人で飲みたいとのホストの申し出を、コウさんは了承した。
私とシャークは、屋敷の手空きの人間を誘って、飲み明かす事にした。
・・・ようは、お互いに監視をしていた、って事だ。
 ミウは、酔いが回った、と言って先に引き上げた。
コウさんに何かあれば、(部屋を監視している)ミウが大声で知らせて
くれるはずだ。
 ・・・気になるのは、昼間の二騎の内、一騎がいなくなっている事だ。
どこかは解らんが、報告に走ったのは間違いない。
 ・・・時の女神は、向こうに微笑んでいるらしい。
早く、・・・早くここを出なければ!。


「・・・はっきり言って、私はあなたがトゥーラの国王だと思っている!
従って、あなたをこの建物から無事に出すつもりは無い!」
「・・・酒が回りましたかな?、ゲオルグ殿?」
「いいえ! しかしまどろっこしいのは苦手でしてな! お答え
願えませんかな?!」
「・・・仮に、私がトゥーラの王であるとしましょう。その王が自ら、
他国にお忍びでやって来るメリットは、何ですかな?」
「それは・・・、それは解りません。しかしその可能性ありと、聞いて
おります!」
「・・・、その伝達書には、こうも書いてなかったですかな? 『偽物に注意、
発見しても、構わぬ事』と、」
「!! 何故それを?!」
「この国は、・・・いや、騎士団領すべてが連合を組んで、ノーラと敵対して
いるそうじゃないですか。その様な最中に、あなたほどの腕の持ち主が、
前線にいないのは変だ。よほど重要な任務についているか、・・・あるいは
上司の機嫌でも損ねたか・・・。」
「・・・上司に媚を売るつもりはない」
「立派な心がけですな、私が王なら、・・・そしてこの国の状況を知りたい
なら、4人連れの目立つパーティーなんかでは来ませんよ(^^)、多少の
危険はあっても、夫婦者の旅人を装います」
「・・・、・・・それで?」
「おそらくあなたはこのような命令書を受け取るでしょう。『そのものは
偽者だ、泳がして接触する者を捕らえよ』ってね。」
「・・・私はそうは思わない。貴方からは力を感じる。野生の狼のような
猛々しい力を」
「光栄ですな! しかし、すべての騎士が曇りのない瞳を持っているわけ
ではない。常識と言う、膜が張るのですよ、目の中にね!」
「・・・・・・。」
「逆に、私から幾つか質問をしてもよろしいかな?」
「・・・どうぞ、・・・答えれる範囲なら。」
「あなた方は、ノーラと敵対しているようだが、戦争状態には至ってない。
・・・何故です?」
「私にも解らんのですが、・・・なにやら上の方で揉めてる様で、どうにも
煮えきらんのですよ。私のような者を前線に配置しないのも妙だし・・・」
「・・・、なるほど。では次に、私が捕らえられる事で、騎士団領は何を
得ますかな?」
「・・・おそらく、身代金としてのラーダ領を。」
「正解、ではノーラとは戦争をしないつもりですかな?」
「解らない、・・・しかしその可能性はある。」
「・・・、私は、ラーダの保護統治者として、『竜の盟約に従い、ノーラを撃て』
との、親書を騎士団連合よりもらっています。・・・どこの国の城主が
署名していると思います?」
「? ・・・まさか?!」
「私を捕らえ、身代金としてラーダ領を要求する行為は、決して恥ずべき
行いではない。しかし、竜の盟約を持ち出し、トゥーラの軍を北に移動させる
行為はいかがなものか。そこに私を誘い出す罠が有るとすれば、身代金
どころか、トゥーラそのものが危うい。」
「・・・、そこまで解っていて何故この国へ?」
「解らなかったからですよ(^^)、」
「は?!、今、何と?」
「詳しく解らなかったので、やって来たんです。貴方と話をして、大分状況が
把握できた(^^)」
「・・・では、ご自分が王だとお認めになるのですね?」
「・・・(^^)、認めましょう。しかし、貴方は私を逮捕できない」
「何故、そう言い切れます?」
「使者が帰ってくればわかりますよ(^^)、それまでは飲もうじゃないですか。
戦場での手柄を聞かせてくださいな(^^)」


次章に続く


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