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トゥーラ年代記

第6章の10

騎士連合の罠の5


「ふぁ・・・ぁふぅ(−ー)」
 何度めかのあくびをかみ殺した。例によって街道の真ん中である。
「なぁに?、だっしないわねえ」
 ジト目で私を見ながらミユが言う。・・・”ら”にアクセントを置いて
「しょうがねえだろう、昨日は寝てねえんだから(−−)」
シャークの声も眠そうである。
「・・・お前さんはタフだなぁ、眠くないのか?」
 ミユは、不思議そうな顔でこう言ってのけた。
「あたしは、宵の口には寝てたわよ? 言ったじゃない。酔ったから
寝るって(^^)」
「なにぃ?!」「何だとぅ?!」 私とシャークの声が被った。
「お、お前?!、起きてなかったのか?!」
「・・・そういったでしょ?、耳遠いの?」
 憮然とした顔で言うミユ。
「客間を見張れって、言ったろう?!」
 私の声は、1オクターブは跳ね上がっていただろう。
「いつぅ?」
 それに引き換え、この女の不機嫌そうな低い声(−−)
「部屋出るときウインクで合図したろ?! おまえも返したぢゃ
ないか?!」
 シャークの声も上ずっている。
「・・・ああ、アレ? ・・・そう言う意味だったの? 酒の余興かと
思っちゃった(笑)」(^^)
「あ、・・・あのなあ!!」
 ・・・うう、怒りでくらくらする。・・・あの時襲われてたら、部下は、
酒飲んでるか、寝てただけか?! ・・・末代までの恥だ(泣)
「まーまー(^^)、良いではないか、無事に出て来れたんだし(^^)」
 の、・・・のほほんと言うな〜!! あんたの命がやばかったんだぞ?!
「そりゃ、ま、そうですが・・・」(−−)
「納得できません!、そもそもなんで、ゲオルグは我々を、無事釈放
したんです?」
「知りたい?」
「ええ!ぜひ!!」
「ゲオちゃん、良い人だから(^^)」
 ・・・一瞬、マジで殺意を抱いた。
 思わずコウさんの顔を睨みつける格好となる。コウさんは、そんな私の
視線を気にもせず、前を向いたままで話し始めた。
「・・・ま、いろいろ聞き出したいこともあってね、こっちの仕掛けた
情報戦が、どの程度成功してるか、も、含めて賭けに出たのよ(^^;」
「・・・賭け?」
 賭け?、・・・賭け、だと?!・・・1国の王だぞ?!
本人は”賭け”で済むだろうが、護衛の我々の身にもなってくれ!!(泣)
「そう・・・、今回、虚実織り交ぜて情報をリークしてたのでね。こちらの
思惑通り事が運んでれば、『手を出すな』って命令書が届いているハズ
だったのよ」
 相変わらず前を見たままで、しゃべり続けるコウさん。
我々に話しているというより、自分の考えを整理しているように見える・・・。
「・・・では、勝算があったって事ですか? 酷いっすよ、事前に教えて
くれてりゃ・・・」(−−)
 恨みがましそうなシャークの声、・・・そりゃそうだろう。
知ってりゃ、一晩寝ずに飲み明かす、・・・なんて無茶をせずに済んだんだ。
「・・・まー、5・5って所、・・・いや4・6ぐらい?」
 ナニが?、どっちがだよ?!
「・・・もちろん6の方でしょうね?」
 いやな予感はしつつも、確認をする。
「成功度?、いんや4の方(^^)」
 ・・・、さらっと言うなよぅ(T^T)
「まさか、ゲオちゃんが残っていたとはね〜(^^) ・・・でもお陰で、事は
有利に運べそうだ♪」
 やっとこっちを向いて、コウさんがのたまった。
「・・・は?」「・・・へ?」
 顔を見合わせる私とシャーク。
・・・1人、のほほんと風景を見てるミユ。
 ・・・百人長、速槍のゲオルグが居て、都合がいい? ・・・コウさん、
いったいナニを企んでんだ(−−)
 ・・・あたた、胃が痛くなってきた(泣)


次章に続く


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