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トゥーラ年代記

第6章の12

騎士連合の罠の7

「・・・しかし、ノーラの指揮官どもは、無能なのですかな? みすみす、
騎士団連合の策動に引っかかるとは」
 コウさんの考えを聞かされたあと、私はコウさんに問い掛けてみた。
答えは意外な所から返ってきた。

「・・・そうは思えないわ、私はノーラの特使とやらを見たこと有るけど、アレは
いや〜んな目をしてたわ。・・・必要ならいつでも人を殺すって感じのね!」

 ミユだった。不快そうに眉を寄せている。

「・・・確かにな、あの男がカモられるとは思えん。・・・おそらく、乗せられた
フリを装って、騎士団領を切り取ろうって腹だろう。」

「・・・自分は、連中が欲しているのは、トゥーラの港だと認識しておりますが?」
 思い切って聞いてみた。コウさんは苦笑を浮かべながら答えを返した。
「確かにそうだろう。・・・だが、連中がそれを手に入れるには、大きな障害を
克服せねばならない、首都トゥーラだ。・・・そして、私がそれを許すと思うかね?」

「そりゃあそうだけどよ、・・・騎士団領から海に出るには、全部制圧しなきゃ
ならんだろ? そっちのが大変そうだ(−−)」

 眠そうな声のシャーク。・・・陽光で空気が暖められ、いい気持ちだ。
酔いの残った頭での思考は、光の中に溶けて逝きそうになる。

「一気にやればな、・・・だが今回は1つ2つで済ますつもりなのだろう。
穀倉地帯が手に入るし、1度手に入れれば、竜の盟約は意味をなさなくなる。
・・・私が、ラーダで見本を示したからな(苦笑)」

 前を見たまま、考えながらしゃべるコウさん、シャークの問いかけとは別の
思考をしているようだ。しかし、シャークは食い下がる。

「それにしたってよ、10個ほどの軍隊破るより、トゥーラを相手にしたほうが
楽じゃねえの?」

「・・・単純に数の上、地図の上から見ればそうだろう。・・・しかしシャーク、
おまえさんも知ってる通り、わが国の北半分はほぼ不毛の地だ。そこを延々
行軍しなきゃならんのは、ちょっと辛い・・・精神にくるものがある。くわえて、
現地での補給がほぼ不可能、だ。おまけにやっとたどり着いた戦場は敵の
首都、だ。相手の士気は高いだろう。・・・とどめに、そこは口先大魔王と
誹られる私の国だ。行軍中、兵の士気が下がってるときに何も妨害を受けない
わけが無い(ニヤソ) ・・・以上が、ノーラが騎士団領を狙う動機、だ。」

 一気にしゃべり終えたコウさん。満足そうに笑みを浮かべる。
眠気と酔いで白くまぶしい視界の中、・・・私には、悪魔の邪笑に見える(−−)。

 ・・・その後、コウさんから出された指示は、驚くべき物だった。
適当な夫婦者を雇って、ラーダとの国境まで南下させる事、(何組も)
適当な傭兵を雇って、「我々は北上する」との、指令書を国境まで
持たせる事。(これも複数)
 我々は北上し、ファンは最速で抜けて、北の戦場まで上る事!
その後、他の密偵と連絡をとり、ノーラ経由で帰還する事!!

 以上であった。

・・・ノーラ経由?!・・・あたたた、胃が(泣)


次章に続く


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