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トゥーラ年代記

第7章の4 交渉の行方

 治世3年の春、騎士公国との会議も大筋で合意に達し、トゥーラ国内
では、ほっとした空気が流れていた。
すでに騎士公国と、ノーラの間では停戦が成立し、国境線についても
合意がなされている。
 平行して進めていた、トゥーラ国とノーラとの会談も、旧来通り、
ノーラ河川を国境とし、現在の通商ルートである、アボートの渡しを
改修補強、将来的には橋を架ける事で、合意がなされた。

 皇帝領との間にも、正式な国境が制定され、ロック・マー及びライン・サモは
皇帝領の所領とされた。
 ただし、メッセンジャーのルートは、従来通り確保され、商業面のみで
言えば、旅の商人は余り不都合を感じない。・・・いや、むしろ、棟梁猫の
半自治が正式になった事で、安全になったとさえいえる。・・・金はかかるが。
 その他、両国間には有事の際の、相互援助が約され、ノーラ及び
騎士公国が、容易には攻め込めない体制が構築されていた。

 一見、トゥーラにのみ有利に思われるこの条約であるが、1つには
両地方の譲渡に関する、保障の意味合いがある事、もう1つには、
(これは筆者の推測であるが)トゥーラのメッセンジャー制度を学び、
同様のものを構築しようという、皇帝の思惑があったのではないだろうか?
 事実、治世12年の現在において、皇帝領では同様の組織が出来ており、
両者は、国境での受け渡しに関して、何らかの協議を始めているとの噂がある。

話を戻そう。
 トゥーラは、その保護国であるラーダ領を、従来通り、国として認め、
その国境線を、’侵略を受ける前に戻す’事を主張した。
が、この案は公国側に受け入れられず、1回目の会議は物別れに終わった。
 その後、何度も繰り返された会議の後、最終的に決まった合意条件は、
以下の3点であった。
1、ラーダ領の境は、トゥーラの保護下に入った時点の物とする。
2、ラーダ領はこれを国として認めず、トゥーラの1地方とする。
3、トゥーラと騎士公国は、国境を越えて、いかなる行動も行なわない。
ただし、従来通りの慣習において、行なわれる通商は、この限りではない。

 合意3の付加条件において、後にトゥーラ側は正当なる商業行為として、
メッセンジャーの連絡事務所を、騎士公国内に作り上げていった。
これらの事務所は、確かにラーダ保護の数ヶ月前、試験的に
設置されていたのである。 ・・・恐るべし口先大魔王。
 ルードビィッヒ王は、さぞかしご機嫌が、麗しかったであろう(笑


次章に続く


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