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トゥーラ年代記

第7章の 8


’むかつく、むかつく、むかつく〜〜〜〜><’
 1人、机に向っている内務卿の背中から、ものすごい量の怒りの
オーラが、立ち上っていた。
 今日は、比較的楽に過ごせる日のはずで、そのため午後の時間は、
新しい法令の草案作成に、当てるつもりだったのだ。・・・奴さえ来な
ければ。

 来客予定名簿に、名前の載っていなかったその男は、秘書官の制止を
振りきり、当然のように、部屋に入ってきた。
わざとらしい笑みを、頬が弛んだ、大きな顔に貼り付けて。
 スコット卿のささやかな楽しみ、午後のお茶を飲む、煌めきに包まれた
時間は、無残にも打ち砕かれ、その破片を部屋中に撒き散らした。

 ・・・まるで、悪魔の指示を受け、スコット卿の楽しみを奪う為だけに
やってきたようなこの男、(治世7年)現在のトゥーラ商務卿である。
 現商務卿は、あのスナルの元懐刀であった為、事あるごとに、
リュード国王に反発し、国政に口を挟もうとする。
 自分の利権を拡大することに、人生の全てを掛けているようだ。
・・・うっとうしい事、この上ない。

 その商務卿が、何の用かと言えば、海上交易の件について、だった。
 海上交易は、その発祥時が、国家の威信を掛けた事業であった為、
王家の血筋に当たり、かつ、諸外国との交渉に詳しいミレル卿が、
全体を統括し、総指揮を取ったのだった。
 現在もその管轄は、ミレル卿の率いる外務省に一任されており、
商務卿としては、それが面白くないらしい。

’管轄を移せ、あれは、商業行為であり、商務省が管轄すべき案件である’
’いや、皇帝領との政治的駆け引きから、今は適切な時期ではない’
’では、いつが適切なのか?! 以前の話では、開始後3〜4年で
状況を検討し、順次移行するという、話ではなかったか!’
’あくまでも、状況を検討して、だ。皇帝領の、大型船就航の噂が本当なら、
適切な時期とは言えない’
’噂は、あくまで噂である。それを基準に国政を行なうのは、愚の骨頂だ’

 ・・・と、行った不毛なやり取りを、延々3時間近く続けたのだ。
商務卿は、その間部屋をうろつきまわって、何気なさを装い、
書類を盗み見ようとする。その手に持った書類を、これまた、
さりげなく取り上げ、元の場所に戻したり、引き出しに押し込んだり・・・。
 貴族のあしらいには慣れている内務卿であったが、さすがに
堪えたらしい。
 やっと追い払ったとたん椅子に座り込み、虚空を睨みつけたまま、
すざまじい怒りのオーラを放出し始めた。

・・・クソー、あの丸々太った、●野郎め(ーー)
街で会ったら、切り刻んで、東方料理にしてくれる(ーー)
そんでもって、そんでもって、・・・・・・東方料理、か。
一人で、夕飯を食うのもわびしいし、子猫ちゃんを誘って、
食いにでも行くか。・・・そんで持って、酒を飲まして、酔わせて、
今朝の続きを、・・・(^^)

 どうやら、内務卿の機嫌は直りつつあり、秘書官の首は繋がった
ようだが・・・
別の人物が、危ない気がするのは、筆者の気のせいであろうか?


次章に続く


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