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トゥーラ年代記

第7章の 10

 内務卿の報告は、例の商務卿の件だった。
ごり押しついでに、いくつか資料を見られた可能性があるらしい。
「内務卿にしては珍しいミスだな。」
「申し訳ありません、ただ・・・」
「ただ?」
「見られた資料の中に、文官の登用案があります。」
「ふむ。」
「この機に、商務省に1部の業務を振り、新人を登用させては
いかがでしょう?」
「・・・人材発掘か?」
「はい、おそらく貴族の中から選ぶでしょうが、優秀ならば問題
ありません。この国の状態を正しく認識できるものであれば、少々の
腹黒さは目をつむるべきかと・・・」
「ふむ、・・・具体的にはどう振る?」
「まだ計画段階ですが、業務引継ぎの為、外務省に出向の形を
とらせます。外務卿の指揮下で、1〜3回程度の航海を経験させ、
事務も含めた引継ぎをさせます。」
「・・・なるほど、実務一辺倒なら、欲ボケした無能者ではなく、マシ
なのが来るとふんだか。」
「御意。」
「・・・いいだろう。腹が黒かろうが、男色趣味で若い燕を飼っていようが、
実力第1だ。ちまちま私腹を肥やしてる状態じゃないって事が、
ちゃんと理解できるやつを、回させろ。」
「・・・御意。」
 内務卿の目つきが、険しくなったようだ。
気が付かない振りをして、言葉を続ける。
「最近5王国内で、妙な噂があるそうだ。火の無いところにゃ何とやらと
いうし、新人鍛えるには、もってこいかも知れん。」
「あの国ですな? 親父が宗主国時代に、香料諸島の管轄にいちゃもん
吹っ掛けた・・・」
「そうだ。噂が本当かどうか確かめたいし、チャンスがあれば、楔を
打ち込んでおきたい。」
「造船と、渡航の秘密ですか。」
「うむ。・・・ほっとけば、大陸の覇権は、皇帝狐に握られる。やつは、
・・・虫がすかん(−−)」
「・・・ぎ、御意。」
 いや、好き嫌いじゃないだろ〜?! ・・・と、心で突っ込む
スコット卿であった。


次章に続く


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