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トゥーラ年代記

第7章の 15 

 とりあえず、敬礼をして、建物の外まで出てきたものの・・・、
何から手をつけてよいやら、途方にくれるライちゃんであった。
 落ち着いて考えようと、酒場に入り、飯を頼む。
突然の(一応)騎士の登場に、酒場内が少しざわついた。
が、当の本人は一向に気にしていない。・・・と言うか、気にする
余裕が無い^^;

 上の空で、飯をつつくライちゃんの前に、男が腰をおろした。
断り無く席に付いた相手の態度に、さすがのライちゃん(ザ・上の空)も
顔をあげる。
「なっ?! お前は?!」
 大声を上げかかるラインハルトに、手のひらをつき出して静止させ、
「・・・久しぶりだな。」
と、男は言った。
 メッセンジャーの制服を着こんた、あの男である。

「お前、・・・今困ってるだろ? 内務卿に、無理難題吹っ掛けられてよ?」
 怒り、混乱、疑問、・・・一気に入って来た情報に、パニックを起こしつつ
ラインハルトは答えた。
「なんで知ってる? ・・・ってか、お前ここで何してるんだよ!?」
 小声での反論なので、いまいち迫力が無い。
さすがのライちゃんも、ここで大声を張り上げないだけの、常識は
持っているようだ。

「いろいろ有り過ぎてな、・・・ま、情報源はシャークだ。」
「・・・あのアホウめ! 何でよりによって、敵に情報を!」
「心配するな、騎士連合は首になった。今はここで、十字流道場とか
言うところに・・・」
「何?! 貴様、あそこに関わっておるのか?!」
 これは流石に、声が大きくなった。周りからの視線が集中する。
何事も無かったかのように、男、・・・ゲオルグが、食事をオーダーした。
会話の進行がなくなったため、視線は徐々に散り始める。

 視線が引くのをまって、再びラインハルトがしゃべり始める。・・・小声で。
「貴様! あそこに関わるなら、生かしては置かんぞ! あれは、騎士の恥だ!」
 ゲオルグも、小声で答える。
「心配するな、ちょっかい出して逃げ回ってる口だ。」
「何? ・・・じゃ、若いのしばき回して、とんずらこいた髭面って、あんたか?!」
「・・・髭はともかく、私の事だ。で、おぬしに頼みがある。」

「何だ?」
「おぬしの任務、手伝ってやる。」
「何?!」
「代わりに、連中を潰すのに、手を貸せ。潰せば、お前も俺もお尋ねものだ。
棟梁猫の所に行きやすいだろう。」
「・・・それは出来ん。」
「何故だ?」
「私はトゥーラの軍人だ。機密は漏らせんし、他者を参加させる権限は無い。」
「では、許可があればいいのか?」
「それは、・・・そうだが。(−−)」
 嫌な予感をかんじつつ、ラインハルトが答えた刹那、
「よぉ^^」
当のシャークが現れた。

 ライちゃんに答える隙を与えず、シャークは書簡を手渡した。
「これ、スコットのおっさんからな。それから、これ使えや。」
 続けて渡されたのは、シャークが着ていたメッセンジャーの服。
「な、何!?」
「必要になるからよ。で、名前はおれのを使えや。」
「それは、どういう・・・」
「あ、そうそう、こんなのが張ってあったぜ」
そういって、シャークは酒場の壁に張り紙を張った

 そこには、こう書かれてあった。
『道場破りの卑劣漢に告ぐ! 来る○月X日、当道場において
トーナメント試合を行う。 貴様が、腑抜けでないならば、その証を立ててみよ!』

「・・・今、お前が張ったように見えたが?」
 じと目で、ゲオルグが突っ込む。
「気のせいだ。なんでも町中に張ってあるらしいぞ? ・・・今夜辺りからな。」
「・・・まさか、それに出ろと言うのか?」
と、ラインハルト。
「さあな? 詳しいことはそこに書いてると思うぜ? おれはこれから船旅なんでな^^」
「船たびぃ〜?」
二人の声がハモる。
「じゃぁな〜^^」
 さわやかに挨拶して、シャークは去っていった。
・・・ゲオちゃんのソーセージを1本、つまみ食いして。

「・・・どう思う?」と、これはゲオルグ。
「ああ、・・・多分この張り紙、道場側も知らんものだと思う(−−)」
と、ラインハルト。
「開かなければ、面目丸つぶれ、か。リュ、・・・コウさんだな(−−)」
「・・・おそらくな(−−)」


次章に続く


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