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トゥーラ年代記

第7章の 19 

 騎士公国が、その目を東に向け、進出を始めた事は、
リュード一世率いるトゥーラにとっても、好都合だった。
両国は、信仰宗派が同じ事もあり、商業面での協力体制が
出来あがれば、地理的要因以外に、対立の理由は無い。
 お互いの内情を探る為に設置された諸機関が、今度は
国益を生む為に、(有効に)使われ始めた。

 一方、騎士公国の東に隣接している各国は、戦々恐々としていた。
元々宗教的な対立があり、その為、神聖帝国(現皇帝領)側の橋頭堡として、
築かれた場所が、騎士団領(現騎士公国)であったからだ。
 これまでは、各騎士領主同士の反目もあり、異なる宗教圏を滅ぼすには
至らなかったのだが、その地域が1国に統合され、なおかつ、背後の憂いを
消しつつある。
過去、幾度も衝突を繰り返してきた、東の国々で、脅威を感じない為政者は
いなかっただろう。

 しかしながら、これらの国々が1つに纏まったか、というと、そうではなかった。
各国のエゴが出て、連合を組めないまま、ルードヴィッヒに各個撃破されて
いったのである。
 その影には、複数の軍師が存在したと、囁かれていた。
ルーちゃんが、一大改革でかき集めた、優秀な人材たちである。
中には離間策を用い、敵の連合を阻止した者もいたらしい。

 しかし、何よりも、東の国々を驚かしたのは、騎士公国に採用された人物達に、
少なくない数の、多神教信徒が居た事だ。(騎士公国は一神教)
一神教そのものの橋頭堡と(東の国々が)捉えていた騎士公国が、
その教派そのものにも、柔軟な考えを取り入れ、一大改革を図っていたのだ。

 騎士団領では、領主の権限が大きく、宗教的権力も(橋頭堡としての機能上)、
領主に付随する状態が続いていた。(名目上、大司祭を領主が兼ねていた。)
その為、多神教を認めることは領主権限の弱体化に繋がると考えられており、
多神教の人民が採用される事態なぞ、ありえないと(東の国々は)たかをくくって
いたのだ。
 ルードヴィッヒが建国に当り、各領主を徹底的に、誅殺して回った理由は、
この、大胆な改革を実行に移す為の、布石だったのかもしれない。


次章に続く


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