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トゥーラ年代記

第6章の20

 暗殺未遂の直接の実行者は、反体制派の一人だったが、
裏で糸を引いていたのは、ノーラであった。
 この時期に、国の柱を倒す行為の危険は、反体制派も十分
承知していた。
・・・が、ノーラが、約束通り、騎士団領の軍を引き付け、外交文書
にまぎれて、催促を重ねるに至った為、これを実行しようとしたようだ。
 ノーラの意図としては、これで弱体化したトゥーラに、騎士団領が
進軍、両者が消耗戦をしている間に、騎士団領を蹂躙し、あわよくば、
占領しようと言う腹であった。
 国土の、半分以上が使用不可能な、トゥーラよりも、騎士団領の
小麦の豊富に収穫できる、肥沃な領土の方が、魅力的だったのだ。

 一方、騎士団領も、その粗筋は読んでいた。その為、ノーラの
不満分子に働きかけ、内部で、暗殺未遂を起こさせた。
・・・そう、暗殺未遂、で、ある。
 失敗するように仕向けたのだ。不満分子を煽っておいて、その情報を
ノーラに流し、恩を売ると同時に、休戦交渉を持ち掛けたのだ。
 騎士団領が、ラーダを奪回する事は、領内の事情であり、トゥーラの
国土に立ち入るつもりは無い。したがって、ラーダ奪回までは、手出し
無用に願う、と。
 外交上の策を弄した上で、ノーラが南下した時には、徹底的な
焦土作戦を展開し、ノーラを足止めて、最悪、北の2領程度で、講和する
つもりでいた。
 ラーダとトゥーラの首都周辺を手に入れれば、北の2領を失っても、
得るものの方が大きい。
 無論、東方の国々に対しても怠りは無い。こちらも、不満分子を煽って、
お家騒動を引き起こしておいた。
当分、騎士団領にちょっかいは出せないだろう。

 ノーラと、騎士団領の画策は、皇帝にとって、渡りに船だった。
彼の国においては、臣下である筈の、将軍や、宦官の発言力が増し、
国としては、末期的症状を呈していたのだ。
 これを立て直し、権力を集中させるには、領土回復がもっとも効果的な、
人心掌握術であった。
 あの地方は、産業は見るものが無いとは言え、領土としては広大であり、
また、かつて、帝国を創建した始祖皇帝が、最初に下した領土でもある。
 さらに、見るべき産物が無い為、トゥーラの抵抗は薄いと考えられ、有利に
講和に持ち込めるだろう。
 おまけに、山賊どもがたむろしている。これを下せば強力な軍を組織できるし、
無能な将軍をおだてて前線に立たせれば、勝手に消えてくれる。
 まさしく、たなぼた、で、あった。

 リューさんは、このような緊迫した情勢の中、のほほ〜んと、旅に
出ていたのだ。
 ・・・、まったく、あのお気楽トンボは(−−)


次章に続く


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