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路上の8

「・・・じゃお前、一人で連中を潰すつもりだったのか?」
リュードの護衛、シャークが聞いてくる。
 ここは、最初におっさんと飲んだ酒場だ。
中央の丸テーブルで飲んでいる。
・・・目立つだろうって? ・・・ああ、目立つさ
これ以上ないくらいにな。
 俺は、派手な縞模様の服を着込んでいた。
シャークの着ているものと同じだ。
あの後、シャークに近くの連絡所とやらに引き込まれ、
この服を着るよう、言われたのだ。・・・おせっかい野郎め(−−)

 しばらく抵抗したが、結局受け入れることにした。
道場というのが、数十人規模ではなく、百人を超える大きな集団だ、
と、聞かされたからだ。
 あれだけ目立つ行動を取ったのだ、同じ服装でいる事は
殺してくださいと、大声で触れて周っているに等しい。

 先ほどから何人も、目つきの鋭い連中が、酒場を出入りしている。
どうやら道場の連中のようだ。・・・手がキレイすぎる。
ごろつきなら、もっと手が節くれだつ。剣だけを握っているわけには
いかないからだ。
 面白い事に、私に視線を向けてもすぐに外す。
最初から、メッセンジャーは違うと、思い込んでいるようだ。

 私は問われるままに、ぽつぽつと’あの時’の話をし始めた。
・・・そう、わが主を失った時の話を。
 あの日、多くの騎士領主が殺された日、私は自分の主を守る為、
その居室の前に駆けつけた。
無事を知った後、部屋を退散する前に、扉越しにふと耳に
入ってきた会話。
・・・それは、誰が事の黒幕かを、雄弁に物語っていた。

 その後の事は、想像におまかせする。
ただ、私はあの日以来、主を失い、職を失い、家族の面倒を
親戚筋に嘆願し、・・・現在に至っているのだ。
 最早失うものは、何も無い。
いや・・・、今、背中を向けたら、最後に残った意地さえも、
失ってしまうだろう。

連中を潰すのは、己自身の為だ。 他意は無い。
そうとも、・・・意地のみ、だ。

次章に続く


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