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ハッシ 治世30年



「魔法? ・・・馬鹿を言え! そんなものがあってたまるか!!」
「でも隊長、アレは・・・」
「寝言、言ってる暇があったら、見回りに行って来い!! あの、
ふざけた野郎に、何度コケにされたと思ってるんだ!!!」

 慌てて散っていく部下を見ながら、隊長は、イライラと、机の脚を
蹴った。
 ここは、ハッシ地方の街、ミレブルグである。
しばらく前から、怪盗猫仮面を名乗る泥棒に、商人の家々を荒らされ、
守備隊は、面目丸つぶれの状態なのだ。
 ・・・ふざけやがって、犯行予告をして、物を盗むだと?!
それも家人に気づかれず?!
 ・・・不可能だ! 絶対何かの仕掛けが有るに決まってる。 
 ・・・、おまけに今度は魔法だぁ? ・・・フン! ばかばかしい!!

「絶対、魔法だよな? アレ」
「う〜ん、・・・どうかなぁ?」
「何だよ、それ?! ・・・目の前で消えたんだぞ?!」
「確かにあの路地は、行き止まりだったよ。・・・でも、本物の魔法を
見た事無いんで比べようが・・・」
「だ・か・ら! アレは本物の魔法だって!! 俺たち一般人には
無理だよ。捕まえるなんて!」
「でも、隊長は捕まえろって・・・」
「無理無理! ・・・大体、机にしがみついて怒鳴ってるだけで、泥棒が
捕まったら、警邏はいらないっつーの! ましてや相手は大魔法使い
だぜ? 俺ら一般人に出来ることは、こうしてくだまく、く・ら・い(^^)」
 そう言うと、警邏Aは、美味そうにエールを飲み干した。
「・・・良いのかなあ(^^; 警邏中なのに(^^;」
 突っ込む、警邏Bの手にも、ジョッキが(笑)
・・・この町の風紀の質が、察せられる。

 ・・・君ら、今晩盗みが有ったらどうすんだ?(^^;

ミレブルグ:半砂漠化していた、中央平原一帯を、豊かな実りの地に変えた
南方産の作物、とうもろこし。それの導入を決め、普及に尽力した外務卿の
名をとって、命名された街である。正式名称は、ミレル・ブルグ。
以前は、リーブルグ、あるいは、リバブラグと、呼ばれていたらしい。



続く・・・かな?


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