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ハッシ 治世30年



 ・・・そんな警邏のやり取りを、酒場の隅から冷ややかに見つめる
瞳があった。
 深めにフードをかぶった、小柄な人物である。
「フン! この国の警邏はなっちゃいないね! ・・・行こう、カーボ!」
 最後の台詞は、連れている猫に向かって言ったようだ。
 大きな、1メートル以上ありそうな猫だ。リュンクスと呼ばれている
南方産の猫だろう。小柄なこの人物なら、その背に乗れそうなほど、
存在感がある。
 他の都市なら、こんな猫を連れて歩けば、大騒ぎになるのだろうが、
さして気にとめる者が居ない所が、この街の状況を如実に物語っている。
 自分の益にならない事には、誰も口を差し挟まないのだ。

 小柄な人物は、酒場(飯屋も兼ねている)から出てくると、近くの路地に
入り、辺りを見回して、人気が無いのを確認した。
 そして、フードを脱ぎ、リュンクスの背に括り付けていた、荷物と一緒に
まとめると、それを片手に引っ掛け、器用に屋根の上に登っって行った。
 月光が、彼女を照らし出す。ボブにした金色の髪、滑らかな褐色の肌。
動きやすさを重視したその衣装は、彼女のしなやかな体の線を、見事に
浮かび上がらせていた。
「・・・おおっと、いけないいけない。 忘れるところだった。」
 軽く舌を出して、笑った後、荷物の中から、猫耳のついた頭巾を取り出す。
目立つ金髪を隠す為らしい。 猫耳は・・・まあ、不問にしておこう(笑)
「お仕事、お仕事♪ パパの手がかりを見つけなきゃね!」
「にゃ!」 リュンクスが答える。

 ‘怪盗猫仮面’今夜も出陣のようである。
・・・おい、警邏コンビ、飲んでていいのか?!

「親父〜、もう一杯!」
「こっちにもね〜(^^)」


ちゃんちゃん 続く・・・かな?


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