直線上に配置

トップ物語

我を呼ぶ声


第1章の2

 男の周りに、浮ぶ呪符が、また1枚増える。
 そして、男はおもむろに、攻撃を宣言した。
男「行け! 炎の申し子たちよ! 我が敵は、汝が敵なり!!」
 2匹の獣が唸り声と共に襲ってきた!
 秘教の若者が1体を盾で受け止め、もう1体にハルバードを振るう!
が、禁呪を賦与された、山犬は、その攻撃をやすやすと掻い潜り、私に襲い掛かってきた!
 ・・・かろうじて腕で牙を防ぎ、振りほどいたものの、その牙は鋭く、動作も早い! 早く味方を召還しなければ、体を食いちぎられてしまう!
 そこへ男の声が響いてきた。
男「どうした小僧? ‘マ・ナ’が足りないのか? ・・・それなら手伝ってやろうか? ‘マ・ナ’不足をなあ!!」
 そう言うと男は、山と契約を交わし、呪文の詠唱に入った。
男『我が望みしは、地の亀裂! 裂けよ、砕けよ! 彼方の地!!』
 ・・・これは、禁呪?!
 男の詠唱が終わると同時に、私の体を、ガラスの砕けるような感触が襲った。
 ・・・、力が消える! 確かに契約を交わしたはずの平原の‘マ・ナ’が感じられない!
 男の唱えた禁呪で、契約を破棄されたのだ!!
 ふと見ると、足元に1枚の呪符が落ちていた。麦穂が実た風景が映し出されている。
 今、契約を破棄された呪符のようだ。
私「・・・おのれ!、大事な呪符を!!」
 男はニヤニヤ笑いながら言った。
男「心配するな。戦闘が終わったら回収できるさ、・・・生きていれば、の話だがな?」
 男の足もとにも、呪符が落ちている。今使った、禁呪のようだ。
 男はニヤつきながら顎を癪って見せた。

 めまいを起こしそうなほどの怒りの感情を、無理やり押し込める。
・・・落ち着け! 焦っては敵の策略にハマる!。 
 呪符に気をこめ、‘真なる名’を探す。・・・あった!
私『樹林よ!、静謐たる、大地の守護者よ!我‘真なる名’を持ちてそなたと契約を結ばん。我に深緑のマ・ナを与えよ!!』
 続いて、召還に入る。
私『狩る者よ! 古よりの人類の友よ! 我‘真なる名’を持ちて、そなたと盟約を結ばん!!』
 そして、
『俊敏なる者よ! 他者の干渉を受けぬ者よ! 我‘真なる名’を持ちて、そなたと盟約を結ばん!!』
 私の前に2体の獣が出現する。白地に茶斑、短毛の猟犬と、体の後半が、ハリネズミのようなトゲで覆われてる、マングースだ。
【頼むよ2人とも!】、
心で声をかける。2匹は振り返り、軽くしっぽを振って見せた。
 終わりの合図に、男を睨みつける。同時に猟犬が吼えた!
「ガゥァ!」 ・・・、やる気十分!
 呪符を増やした後、男は考え込んでいるようだ。軽くからかってみる事にする。
私「どうした? 攻めて来ないのか? ・・・お前さんでも数の計算は出来るんだな!」
男「小僧! いい気になるなよ?! 私を怒らして、突撃させようって腹だろうが、そんな青い手に乗るか!!」
 そう言うと、男は、呪文の詠唱に入った。
男『刀工よ、鉱山に住まいし、精霊の末裔よ、その腕を我が力となせ!』
 ドワーフを呼び出し、終わりの合図に手を振って見せた。
 ・・・これで、数の上では五分と五分、だ。しかし獣の大きさでは、敵のほうが勝っている。
 おまけに敵は、禁呪が使える・・・。助けは、期待出来そうもない・・・。
 ええい、考えても始まらん! 自分を信じるしかない!
 呪符に念をこめ、空中に浮かべる。・・・これは?!
 その呪符に映って見えたのは、風景や動物ではなかった。
 それは1枚の古文書だった。意識を集中させると・・・・読める! これは、・・・禁呪?!


次章に続く










プラモ&パズル まじっく トップへ

直線上に配置