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我を呼ぶ声

第1章の3

男「どうした小僧?!読めないルーンでもあったか?! それとも、呼べないほどの大物かぁ?」
 そう言うと、男は、大声で笑って見せた。
私「・・・、次で殺してやるさ。」
 男に聞こえるように呟き、顎を癪って見せる。
 手に入れた呪文は、確かに禁呪だが、攻める役には立たない。
 むしろ、守りに入った時に、より効果が期待できる物だった。
男「・・・上等だ!小僧!、その台詞を悔いながら死ね!!」
 言い放つと男は、一気に呪文を唱え始めた。

男『地震よ!その大いなる振動よ!我が地と共に、彼方の地を砕け!!』

 な?!、バカな?!己の契約した地を巻き添えにするのか?!
男「ふ、はははは!、さあどうする?!俺は、見捨てられし高地を贄とする! これで、また、怨嗟の声が上がるというものよ!」
 男の目は狂気を孕み爛々と輝いている。
 ・・・どうやら、己で地を選び、契約を破棄せねばならないようだ。
 ・・・禁呪を打つには、平地の‘マ・ナ’が、必要だ、それ以外にももう2つの’マ・ナ’が・・・

──我を捧げよ

 心に声が響く。?! 声の方向に、意識を向ける・・・山?! 山脈からの声なのか?! ・・・そう言えば、奴は”怨嗟の声”と、言っていた。
 すべての、地にも、’マ・ナ’にも、意思が、介在するのか?!

──然り

 再び、声が聞こえる

──そなたとの契約は心地よい、再び我を呼べ・・・選別だ

 声が薄らぐと、私の中に、小さな力が点る。同時に、足もとに、夕映えに映える山脈の呪符が落ちた。
 ・・・また、あの喪失感が襲う。しかし、それは奴も同じはず!
男「一時の’マ・ナ’を用意したか。・・・しかし!」
 男は再び、同じ禁呪を唱えた!
 今度は’マ・ナ’を消費した山を、無造作に贄に捧げる。
 そして、私に顎を癪って見せた。
 ・・・心で、詫びを入れつつ、私は、森に贄となる事を頼んだ。

──・・・承知

 との声と共に、’マ・ナ’が送られて来る。
 そして、足もとに、広葉樹の森が写った呪符が落ちる。
 奴は、残った山の’マ・ナ’で、なんと、手札を贄にした!
 そして、ドワーフの能力を発動させたのだ!
男「精霊の末裔よ、我が呪符を贄とし、炎の刃を纏え!」
 ドワーフの手に炎の剣が現れる。
 男は己の軍団を見回した後、歪んだ笑みを口元に浮かべ、静かに命じた。
男「・・・炎の子らよ、汝が敵を打ち滅ぼせ」
 と。
 男の攻撃命令のわずかばかり前、私は、山と森が残してくれた’マ・ナ’に、平地の’マ・ナ’を足し、禁呪を発動させていた。

私『集いし、精鋭たちよ!その身に纏え!、我が、励ましの声!!』


次章に続く


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