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我を呼ぶ声


第1章の5

 男の、無謀としか言いようの無い、攻撃命令に、私は苛立ちを隠せなかった。
私「どういうつもりだ?! 貴様! 己の召還した、部下だろうが!!」
 男は、鼻先で嘲笑って見せた。
男「は! 博愛主義な事だな! ・・・反吐が出るぜ! 貴様ら白の属の、言い分は、な!!」
 その目は、狂気を孕んでぎらついている。
男「我が軍を我がどうしようが、己の知ったことか!! 我が隷属より、己の命を心配しろ!!」
 ・・・おのれ! そのつもりなら、その命! 貰い受ける!!
 私は、念を込めて、次の呪符を浮かべた。
 呪符に写りしは、平原。
 私は、契約を交わし、かねてより写っていた飛翔族と、契約を交わした。
私『大空の覇者よ! 重なる羽のごとく、群れるものよ!我‘真なる名’を持ちてそなたと盟約を結ばん!!』
 人の姿を模した、グリフィンの様な種族が現れる。
 手(前足?)には、手槍のような武器を持っている。
 エイブン(この種族の名前らしい、心に響いてきた)が振り返り、頷くのを確認して、私は、若者に、攻撃命令を出した。

 ・・・と! 男が、呪文の詠唱に入った!
男『我が望みしは、敵の撲滅! 焼き尽くせ! 炎熱の突風!!』
 空中から突然、炎の塊が出現し、若者を包み込んだ!
若者の周りの空間が、空間そのものが燃えている!!
 ”励ましの声”を! しかし・・・’マナ’が無い?!
 こちらを振り返り、ただ口を動かすだけの若者、声は聞こえてこない。
 ・・・私は、私には、見ているより他に、なす術が無かった。

 炎の中で、消滅する若者、・・・私の足元に呪符が落ちる。
 男の嘲笑が響いた。
男「どうした小僧? お仲間を失ったのが、そんなにショックか?・・・あの若いのもかわいそうになぁ? 散々盾に使われた挙句、見殺しかよ?!禁呪で、助けもしないんだからな!!」
私「!! おのれ、・・・おのれ!、おのれぇ!!!」
 ・・・私の瞳にも、狂気がにじんでいただろう。


次章へ続く





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