第2章 クエストの2 ほぼ絶壁に近い角度でそそり立つ岩壁。 その下から2/3ほどの辺り、様子の見て取れない岩棚に、少しだけ平坦な箇所がある。 泣き声はそこから聞こえてきた。 道らしきものは無い。・・・あんな所に、祠でもあるのだろうか? 日暮れが迫っていたが、若者の熱意に押され、そこまで、上ることになった。 ・・・まったく、何やってんだ、俺は? 夕暮れが迫り、岩肌が赤く燃えて見える。 そのせいで、岩の凹凸がわかり辛く、思うように上れない。 いくらも登らない内に、若者が警告の叫びをあげた。 振り返ると、がけ下からさほど離れていない所に、かがり火が近づいている。 ・・・まずい、儀式はまだ続いていたようだ。 若者と、目で合図を交わし、一気に崖を滑り降りる。 かがり火が来る前に隠れる事が出来れば、何とかやり過ごせるだろう。 若者には、悪いが、私はほっとしていた。 これで、厄介な赤ん坊を抱え込むことはなくなるし、崖も上らずに済む、と。 ・・・考えが甘かった。崖下にきた人物は、おもむろに息を吸い、こう言った。 「出て来い! こそこそ隠れた鼠ども! 神聖なる地所を侵した罪、その命であがなえ!!」・・・と。 どうやら、我々はすでに見つかっていたようだ。 ・・・やれやれ、決闘か(−−) 次章に続く |