第2章 クエストの5 第6ターン。 奴は、山と契約し、蛮族に攻撃命令を出した。 蛮族の戦斧がうなりを上げ、私に向かって振りかぶられる! しかしその前に、アンテロープが飛び出した! アンテロープは、当然の権利のように、私の呪符をねだり、私はそれを与えた。 呪符を食べたアンテロープの体が、鈍い’マナ’の光を放つ。 そして、蛮族の戦斧は、その体に食い込む事無く、地面に穴をうがった。 ・・・そう、この獣は、呪符を食うことによって、その篭められた’マナ’を自分の身にまとうのだ。 盾として、実にうってつけの能力ではないか。 ・・・代償は高いが(−−) 今度は私の番だ。 平地と契約し、エイブンの群れを呼び出す。 私『群れるものよ! 我が声に答えよ!』 これで、’マナ’は無い、・・・が、そうそう奴が禁呪を持っている事も無いだろう。 だが、続く第7ターン。 奴は、あざ笑うかのように、禁呪を撃ってきた! 男「我が望みしは、敵の撲滅! 焼き尽くせ! 炎熱の突風!!」 !! またしても、この禁呪か?! 呼び出したばかりのエイブンが焔に包まれ、塵と消える。 が、奴も’マナ’を使い切り、アンテロープの能力も見て取ったので、蛮族に攻撃命令は出さなかった。 一方、私は、地札を引いたが、アンテロープに食べさせる呪符を考え、契約をせずに、終わった。 第7ターン。 奴は、新たに浮かべた呪符を見て、無気味に笑い、何もせずに終わりを宣言した。 ・・・、はったりか? それとも・・・。 一方、私が引き当てたのは、今使われた、あの禁呪だった。 赤の族の戦闘魔道士から、奪い取っておいた呪符だ。 ・・・自然、口元に笑みが浮かぶ。 だが、’マナ’を使い切ることは危険が大きい。 相手のターンエンドに動くことにして、何もせず、終わりを宣言した。 男は、いぶかしげに眉を寄せ、 ・・・しかし、はったりと取ったのか、自分の行動を始めた。 男「我が敵を射抜け! 溶岩の矢!!」 ! そう、この呪文は、瞬間で唱えられる。 速呪と呼ばれる類のものだ。 どうやら、奴は、私の手札をアンテロープに食いつくさせる気らしい。 私は、黙したまま、地札を食べさせ、彼の能力を発動させた。 第8ターン。 引きが良くなかったのだろう。 男は、目に見えていらついている。 やがて、目の底に凶悪な光をたたえた男は、こう宣言した。 男「我が秘儀を見よ! 地に落ちし、呪符よ! 今一度、焔の稲妻と成りて、敵を打て!!」 ?! 足元の呪符が’マナ’を受け、光出す! バカな?! ・・・これは、フラッシュバック?! 永遠に呪符を失する気か?! アンテロープが、炎に包まれる。 振り返った、その瞳が私に呪符を強請る。 間一髪! 私の投げた呪符が、アンテロープの口に届いた。 ・・・、今、盾を失うわけには行かない。 次章に続く |