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我を呼ぶ声

第2章 クエストの7

第10ターン
 男は、少しの間考え、おもむろに禁呪を唱えた。
「溶岩の奔流よ、敵を撃て! 贄に奉じしは、我が呪符!!」
 エイブンの群れに火焔が迫る!
私は、エイブンの行動力を消費し、無帰呪を唱えた。
『白き生命の力持ちて、’マナ’と成せ! 虹の破片よ! 我が願いを現出せよ!!』
 足元に落ちていた呪符が鈍く光を放つ。
ゆらゆらとゆれたそれは、一瞬眩しい光を放ち、虚空に消えた。
 放出された光が、溶岩の周りに纏わり付く。
溶岩の奔流は、エイブンを飲み込む事無く、地面に消えていった。

 ・・・・!! 男の目が驚愕で見開かれる。
私は、男を軽くからかって見ることにした。
私『どうした? 無帰呪を唱える者が、己だけだとでも思っていたのか? 考えが狭いな!』
男「・・・、驚いた、お前、この世界のものではないな?」
私『!? ・・・貴様、何故それを・・・。』
 瓢箪から駒、だ。
・・・この男は、何か知っている。
 殺さない程度に痛めつけて、知ってる事を聞き出さなければ!
男「さあ、・・・な。知りたければ、見事、我を倒して見よ!」
 男は、そう叫び、終わりを宣言した。
・・・お望みと有らば!

 私が引き当てたのは、秘境の若者を呼ぶ呪符だった。
少し考え、まずエイブンたちに攻撃を指示する。
 奴の生物は、空を飛べない為、防御に参加できない。
合計4点のダメージを奴に入れ、生命点を16に削った。
私『秘めたる教えを守りし者よ! 我が声に答えよ!』
 若者を呼び出し、終わりを宣言する。
無帰呪は、もう一つある。
 ・・・古参兵の時間が逆戻りし、攻撃力が落ちるのは痛いが、これで有利に戦いを進められるだろう。
 消えた呪符は、未契約の符で再契約し、補えば良い。
終わりを宣言し、奴の攻撃に備えた。

第11ターン
 奴は、もう一人、蛮族を召喚した。
男「狂戦士よ! 来たれ! 汝が敵は眼前に在り!!」
 両手に、獲物を抱えた筋骨隆々とした戦士が現れた。
目つきがちょっと、イっている。
 奴は攻撃を仕掛けず、終わりを宣言した。

 私は安堵の溜息を小さく漏らし、次の呪符を浮かべた。
最大の危機は乗り切った。
 後は’マナ’を使い切る事無く、戦闘を継続できるだろう。
・・・あの狂戦士が、特殊な力を持っていなければ、だが。
 ・・・敵は、こちらの攻撃を止められない。
ならば、アンテロープのみを、残し全力攻撃あるのみ!
 私は地札をアンテロープに食べさせ、生物達の属している時間の流れを、進めた。
(彼らの時間は、足元に落ちる呪符と、相関関係にあるのだ)

 これで、エイブンの腕は直り、若者は空を跳ぶ力を得るはずだ。
しかし! その力が発揮される前に、男が動いた!
男「狂戦士よ! その内なる怒りを開放せよ!!」
 男によって、’マナ’を注ぎ込まれた狂戦士は、大声で吼え、体から真紅のオーラを放ち、空中に駆け上がった!
 その先にいるのはエイブンの古参兵!
本来力(スレッショルド)を得る前に、刺し違える気か?!
 そうはさせじと、私も速呪を唱えた!
私『その身に纏え!、励ましの声!!』
 決死の形相で繰り出された、狂戦士の大剣は、エイブンの体に届く事無く、終わった。
地上に落下し、燃え尽きるように消えていく狂戦士。
 そして男の生命点は、8に減った。


次章に続く





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