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我を呼ぶ声

第2章 クエストの16

 竜主は、むちゃくちゃに首を振り、焔を撒き散らす。
しかし、すでに体に取り付いた、小鬼たちに、その焔は
及ばない。
 奴らは、必死に矢にしがみ付き、全体重をかけて
揺すっていた。

 ニックは、撒き散らされる焔で、竜主に近づけない。
が、茂みの中の連中も、焔で狙いが定まらないらしく、
クロスボウの矢は的を外していた。
 焦りを浮かべた顔でニックが振り向く。
ドラゴンまではまだ距離が有る。
回復呪文の狙いが定まらないのだ。
 私は無言で、ドラゴンの右後方を指で示した。
ニックは大きくうなずき、斜面を回りこみ始める。

・・・私は迷っていた。
竜主に耐性力を持たすことは、簡単なことだった。
禁呪『虹色の断片』を、唱えればいいのだ。
しかし、それをすると、私の火呪も効かなくなる。
竜主の一人(?)勝ちになる可能性が高いのだ。

 茂みに隠れている射手が確認できれば、まだ打つ手も
有るが、・・・それも、現状では不可能だ。
 歯痒い思いを抱きながら、地と契約し、時の過ぎるのを
待つしかなかった。

 ・・・竜主の吐く焔が徐々に勢いを失ってきた。
ニックはまだ、目標とする場所までたどり着けていない。
 お人好しな感情が俺の中に巻き起こる。
・・・それを押えきれなくなった俺は、自嘲の笑みを浮かべ、
眼前に浮かぶ禁呪に意識を集中しかけた。
と、まさにその瞬間、竜主の前の森が、轟音と共に燃え上がった!
 竜主の焔じゃない?! 何が起こった?!


次章に続く。

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