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我を呼ぶ声
第3章 藍
海岸をいくらか歩いた所で、遠くに塔が見えた。
どうやら、人家があるらしい。敵らしい敵に会わずに、集落を見つけることが
出来たのは、幸運だった。
近づくにつれ、その港町が、予想以上の大きさである事に気がついた。
集落なんて物じゃない、街といって良い。おそらく万を越す人々が暮らしている。
’ひょっとして元の世界に戻れたのか?’と言う、淡い期待は、
その街の上空に現れた、飛翔船によって脆く打ち砕かれた。
塔の影で、近づくまで気が、かなかったのだ。
・・・ま、そんなに期待しちゃいなかったが(−−)
ともかく、何とか寝場所と職を捜さなければならない。
金はリックが管理してたし、食糧は、竜主の洞窟で食い尽くしていたからだ。
・・・それから、ここが何処かも聞き出さなければ。
ついてねぇ、リックの野郎、どこに吹っ飛ばされやがった(ーー)
街に着いた後、声をかけて来た斡旋屋に誘われるまま、私は
怪しさ120%の、以来を受ける事にした。
’ゴブリンの犯罪組織を、壊滅して欲しい’と、言う依頼だ。
・・・ゴブリンの犯罪組織ぃ? 聞き返す私に、依頼人は思いっきり馬鹿にした
態度で、事情の説明を始めた。
この街のゴブリンは人語を理解し、商業活動すら行なっている事。
彼らは、おもに金を貸し、法外な利息を、オーガーや、ごろつきどもを
雇い、無理やり取り立てていること。
街の支配階級に、その金が流れている為、根本的な対策は取られてないし、
(彼らを潰すのに)街の人間を、使うわけには行かないこと、などだ。
一応、筋は通っちゃいるが、・・・どうしても胡散臭さが消えん(−−)。
まぁ、いざとなれば、バックレればいいし、今はとにかく休みたい。
宿と食事、前金をいくらか約束させ、仕事を受ける事にした。
次章に続く。
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