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我を呼ぶ声
第3章 藍の2
前金を、要求し、とりあえず宿を決め、教えられた
住所周辺を、ぶらぶらと見て回った。
’ゴブリン犯罪組織のアジト’、とやらが、ある所だ。
1つの物事には、2つの側面がある。
依頼者の言い分が、事実であったとしても、すべてを
語っているとは、限らないのだ。
前金もほとんど分捕れなかったし、もう少し詳しい情報も
ほしかったので、
アジト周辺で、働き口を探すことにした。
・・・肉体労働はきつい(−−)
ここしばらく、山歩きで鍛えられたと思っていたが、
まだまだ甘かった(−−)
アジトとやらが、港の近くだったので、港湾での荷物運びに
紛れ込んだのだ。
日雇いで、賃金も低めだが、贅沢は言えない。
それに事を起こしたら、すぐバックレるつもりだから、その日に
金をもらえるのは、ありがたかった。
宿に戻ると、ドアに張った髪の目張りが、切れていた。
・・・こんな安宿で、掃除のサービスは無い。誰かが、ドアを
開けたのだ。
相手がまだ中にいる可能性を考え、私は指先で呪符を確認しつつ、
ドアを足で、押し開けた。
半ば、予想はしていたが、そこに居たのは依頼人だった。
’なぜさっさとやらない?!’と、迫る依頼人に、
’急ぐ理由は何だ?’と聞き返す。
’お前が知る必要は無い!’
’じゃ、他を当たれ。内部の間取りも、人数も判らない状態で
踏み込めるか!’
’資料ならここにある!’依頼人は、紙の束を投げてよこした。
ざっと目を通していると、依頼人が立ち上がり、こう言い放った。
’今夜中に殺れ! 明日になっても奴等が生きていれば、お前にも
回状を、出すからな!!’
・・・回状? 堅気の言い回しじゃ、ねえな(−−)
次章に続く。
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