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我を呼ぶ声

第3章 藍の3


 組織というものは、目立たないよう、その枝葉を広げる。
それが、法に触れる物ならばなおさらだ。
 気が付いた時には、然るべき機関にしっかりと根ざし、
個人の力では、どうにも出来なくなっている。

 ・・・ましてや俺は、この街に何のコネも無い。組織が使い捨てるには
格好の駒だ。
 事が終わった時に残金をもらえる保証は無い。・・・いや、
消される確率のほうが高いだろう。・・・保険の為、
俺は、部屋を出て、依頼人の後を、つけ始めた。

 ・・・驚いた。依頼人は事もあろうに、’ゴブリン犯罪組織のアジト’とやらに
入っていくではないか。
 組織の末端を切り離そうというのか、それとも、やつは会計士か何かで、
組織の金にでも手をつけたか(−−)

 少し悩んだが、建物に入ることにした。依頼人と目標が繋がっている以上、
どう転んでも、トラブルになるのは目に見えていたからだ。
 どうせ、厄介事になるのなら、この目で、真実とやらを拝んで見よう。そう思ったのだ。


 やはり、’依頼人’は組織の1員だった。詳しい経緯はわからんが、やつには
この事務所が邪魔になったらしい。
 ・・・しかし、妙なことになりやがった(−−)
俺の言い分と、’依頼人’の言い分、どっちが正しいか決闘で片をつけよう
って事になったのだ。

 決闘の舞台は、ゴブリン達が仕切る事になった。
成り行き上とは言え、俺は指定された場所に来て、激しく後悔をし始めた。
ゴブリンたちの用意した、会場ってのが、趣味の悪い、即席コロセウムだったのだ。
木組みで、物見席まで作ってやがる(−−)
 しかも、あっちこっっちで、賭けの胴元が声を張り上げている。
・・・お祭り騒ぎにしやがって(−−)


次章に続く。

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