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我を呼ぶ声

第2章 クエストの12

 あれから1週間、俺たちは、洞窟の奥で飢えていた。
数日前、折からの冷たい雨に、雨宿りを考えたのが、ケチの
付き始めだった。
 ・・・今から思えば、なんて迂闊だったのろう。
こんなにでかい洞窟に、先住者が居ない筈は無いのに。
 あの時は、ともかく雨を避けたい一心で、転がり込むように
ここに入ったのだ。

 洞窟の奥に、ホールのようにやや膨らんだ場所があった。
火をおこして、温まろうとした時、俺たちが見たものは・・・
 そのほぼ中央に、積み重ねられた武具の数々だった・・・。
所々、金らしき物も混じっている。そして・・・
そして、その周辺に転がる人骨・・・。

 な、・・・なんて解りやすい(−−) 竜主の寝床じゃないか、ここは!
即座に入口を振り返り、ニック(白の若者)と、目でうなずきあう。
 入口に向って、数歩足を進めた時、その音は聞こえてきた。
巨大な、轟きに似た羽ばたきの音、・・・遅かった。
主のご帰還だ。今出て行けば、間違いなく見つかる(−−)

 そうなれば、結果は火を見るよりあきらかだ。我々も、
あの骨の仲間入りだろう。
 人間の召喚術師と違い、こちらが呪符を展開し、
地と契約するのを、待ってはくれないからだ、・・・竜主は。

 他に策もなく、我々は、小さく分岐した支道の1つに入り込み、
出来るだけ奥に行き、竜主が再び、外出するのを待つことにした。
 それが、数日前の事だ。・・・が、竜主は、一向に出て行く気配が無い。
おそらく、我々の存在に気が付いているのだろう。
 楽に食料が手に入ると思い、まどろみながら、入口を塞いでるのに
違いない(−−)

 火を焚く訳にもいかず、乾燥肉を齧りながら、飢えを凌いだ。
その肉も、昨日の朝で、打ち止めだ。
 ・・・こうなれば、竜主に万歳アタックをするしかない、か。
時間がたてば、こっちの体力は減るだけだし(−−)

 我々が、覚悟を決めた時、第3の勢力が洞窟に迫っていた。

次章に続く。

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