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miuの日記

第4章 洞窟5 巌鉄の日記の4

 軍部の動きが妙だ。
洞窟の1部を封鎖し、怪しげな実験を進めているらしい。
ギルドにも、圧力が掛かっているらしく、ハンターは区画から
排除されている。
もちろん、そんな通達を、ミウが守るはずがない。

 今日も、こっそり、例の水路に忍び込み、元気に水上スキーと
しゃれ込んでる。
あの遭遇以来、’でろるれ’と、すっかり意気投合し、奴に手綱(?)を
銜えさせ、引っ張らせて遊んでいるのだ。
・・・。まさか、あんな物が大好物だったとは(−−)

 あの日、パニクッたミウは、ポーチに入っていた、おやつのキャンディ
(ブルーベリー味)を、奴めがけて投げつけたのだ。
袋ごと投げつけられたそれを、奴は飲み込み、・・・首を傾け、しばらく
固まった後、おもむろに、筏にこぼれたキャンディを、吸い込み始めた
のだった。
 なおもミウの匂いを嗅ぎ、キャンディをねだる’長虫’に、みうは
’でろるれー^^’と、名前を付け、こう呼びかけた。
「また、キャンディもって来るねー^^」
言葉を判じるように首をかしげた後、ながむ・・・’でろるれ’は、我々の
筏を押して行き、出口に案内してくれた。

 ・・・それにしても、ブルーベリーが好みとわ(−−)
日がな一日、モニタと睨めっこする、プログラマーじゃあるまいし・・・。
ジェネレーター付近は、軍部に封鎖されてしまったが、この出入り口は
ばれてないらしい。
無論、ギルドへの報告書でも伏せてある。
 次階層への侵入路等、重要なルートでない限り、ダンジョンマップは
各ハンターの’財産’だ。
すべてを報告していないことは、ギルドも感づいてはいるのだろうが、
高圧的にルートを封鎖した、軍部への反感もあるのだろう、今のところ、
不問に付されている。

 ミウが遊び疲れ、キャンディも無くなった為、今日の水遊びは
お開きとなった。
’でろるれ’に筏を押してもらい、出口の簡易テレポータに到着する。
名残惜しそうに、ミウに’すりすり’する’でろるれ’。
ミウが恋しいのか、キャンディが恋しいのか・・・。
 簡易テレポータを潜ると、目前にいくつもの銃口があった。

 ・・・軍部だ。ここも、バレたらしい。
「困りますなぁ。・・・立ち入り禁止にしたはずですが?」
後方から出てきた人物が、指揮棒?らしき物を弄びながら、言い放つ。
こいつが指揮官らしい。語尾を上げる、嫌味なアクセントだ。
制服の折り目は、きっちりと立ち、埃1つ付いていない。。
・・・、こいつ現場経験無しで、偉くなったんだぜ、きっと(−−)

 ぷぅっと、ほほを膨らませ、すねるミウをなだめつつ、すぐに退散する
旨を伝える。
最悪、身柄を拘束されるかと思ったが、いくつか詰問を受けただけで、
解放される事となった。
こちらにとっては幸いだったが、軍部(の尋問)にしてはあっさりしている。
我々の情報が、すでに手に入れたものだったからか、あるいは、
見られたくない物を、持ち込んでるからか・・・。

 おそらく、その両方なのだろう。我々の提供した情報を確認する為、
簡易テレポータを潜って偵察に出た兵士が、あわてて戻ってくる。
(ミウだと思って出迎えた’でろるれ’と、はちあわせでもしたのだろう。)
その光景を見るともなしに見ていると、指揮官に冷えた声を浴びせられた。
指揮官に向かって、’あっかんべー’をするミウを引きずるようにして、
現場から離れる。

 ギルドに報告を入れようと、レシーバーに伸ばした手を、ミウがそっと
押さえた。
「あのねーがんてつー、グンブ嫌いだから、’でろるれ’と遇うのに、
別の、出入り口つくるー。・・・から、手伝ってー^^」
別の、出入り口? ・・・作る??
イマイチ、言ってる内容が理解できなくて、ミウの顔を覗き込んだ。
無邪気な笑顔の中で、瞳が光を湛えている。
・・・、悪戯を思いついた時の目だ(−−)


次章に続く。

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