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しーるねんだいき
旅立ちは無職
べつに・・・、英雄になりたいわけじゃなかった。
ただ少しだけ、・・・そう、少しだけいい思いがしたかったんだ。
土を耕す毎日に飽きてたとき、彼を見かけた。
卵をかじりつつ、軽々とバイルを斬り捨てる。
押し寄せてきたバイルたちは、ことごとく彼の剣で
始末された。
お礼を言い、名を聞く長老に、彼はこういったんだ。
名乗るほどのこともない。ただの’名もなき’剣士ですよ、と。
かっこいい>< そう、思った。
ボクも剣を持てば、ああなれるかな? そうも、思った。
少しして、ボクは冒険者になる事にした。
しつこいようだけど、英雄になりたいわけじゃない。
かっこいいとは思うけど、実を言うと、生活の為だ。
畑を耕すより、バイルのお腹から出る希石を売るほうが、
儲けがいいのだ。
ボクらの村は貧しくて、毎日ふらふらになるまで働いても、
食べるだけがやっとなんだ。
それが、あの剣士が去ったあと、拾い集めた希石を売ったら
しばらく食べ物に困らなかった。
話したら、おばさんをはじめ、村中の人に馬鹿にされたけど、
ボクの決意は変わらなかった。
ボクの両親は行方不明で、ボクは隣のおばさんに育ててもらった。
その恩は感じてるけど、やはり人様の家は窮屈だ。
そう憎まれ口をたたいて、ボクは村を飛び出したんだ。
いつか、いっぱい希石を拾って、村に帰る日を夢見て。
END
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